過去3回の中華通販激安ホイールで大敗を喫した私は、ついに自分でホイールを(泥酔しながら)組むことにしたのだった。
目次のようなやつ
本稿は、夜だとおおむね泥酔している自分がホイール組みをした記録ですので、まったくちゃんとしてません。まともなホイール組みのやり方を知りたい場合は、ちゃんとした組み方をググってください。約束だよ!
参考:ぽっくりぽっくり駆ける 手組みホイール ディスクブレーキ編
参考:サイクルボックス – スポーク長計算
まずスポークの組み方からわからず、何回も組んではバラしてを繰り返しちゃうんですよね。酒やめろ。というわけで泥酔人間でも組めるように図解付きです。
20インチ(451)のMTB用24Hディスクハブで2交差、フロント(前輪)はディスクブレーキ使用のため逆イタリアン組み、リア(後輪)はリムブレーキなのでイタリアン組みにしていきますよ。
先に書いておきますと、よほどパーツにこだわりがあるとか自分で組める道具とスキルがそろってるならホイールの手組みはアリですが、そうじゃないならショップに発注するなり完組ホイールを買うなりしたほうが確実にお得です。面倒くさすぎる。
イタリアン組みとか逆イタリアン組みって何よ?
スポークを交差させる組み方(交差組み)全般をタンジェント組みと呼びます。タンジェント組みの中でも引っ張られるグレーのスポークが左右とも反時計回りだとイタリアン組み、時計回りだと逆イタリアン組みになるそうな。
参考:[ホイールのあれやこれ #7 ~逆イタリアン組について~ | TREK 専門店 ローロ バイシクルズ 東日本橋店 ブログ]
今回はディスクブレーキを使うフロントが逆イタリアン組み、リア(駆動輪)はリムブレーキなのでイタリアン組みです。ちなみに後輪もディスクブレーキを使う場合は、右側が駆動力を伝えるためグレーのスポークを反時計回り、左側はディスクブレーキの制動力を受けるため時計回りに組むJIS組みになるそうです。
結局はスポークが交差する上下が入れ替わるだけなので、まあ別に図を起こすほどでもない気はするんですけど泥酔で前後不覚になるとバカでもわかる手順書が必要なんですよ。みんな酒が悪いんや……。
スポーク長を計算する
ハブとリムのスペックがメーカーのHPなどに載っているなら、それを基に必要なスポークの長さを算出します。スポーク長計算機はいくつかあるので、必ず3つぐらいで長さを算出して比較しましょう。検算とても大事。
参考:自転車のスポーク長 計算器 – 自転車探検!
ド定番、いにしえの自転車サイト。
参考:Spoke calculator | Sapim
スポークのメーカー、サピムのスポーク長計算機。ここはハブとリムの実測値を入力しなきゃいけないので注意。
参考:スポーク長計算鬼 – 組 ま な い か –
ググった中ではかなり評判が良かった、くぢらニキの計算鬼。組んでたときはリンク切れだったけど復活の模様。
自転車探検で計算してスポークを発注して組んでみたら前輪のスポークが2mmほど短かく、急いでサピムのサイトで計算し直してまた発注という流れにございます。見ろ、検算は大事じゃないか!
使用したパーツとスポーク長
- ハブ:Novatec D791SB | D792SB-11S
24H、ディスクブレーキのローター台座6爪タイプ、シマノ11速フリー(10速スプロケ変換スペーサー付き)、QRスキュワーなし - リム:Alexrims R390 / レッド
- ニップル:ブラスニップル / ブラック
- スポーク:Sapim 2.0mm ラウンドスポーク
ロード系小径車リムとしては定番だったR390、ついに廃盤になったようでAlexrimsのホームページには載ってませんでした。赤のナローリムが欲しかったのでR390にしたんですけど、思ってたよりアルマイトの色が薄かったかなと。
NovatecのMTBハブD791とD792、これは安物ハブばかり使ってた者からすると、すごくいいハブでした。特に漕いでないときのスムーズな進み方は体感できるぐらい。これが”本物”のハブなのか……ッ!
ハブはAliExpressで購入、75ドルぐらい。残りはみんな大好き金澤輪業さんで調達。今回もお世話になっております!
スポーク長の計算結果
SapimのSpoke calculatorで計算するときはメーカーのスペック表にある寸法ではなく、図にあるとおりの実寸を測る必要があります。
スポーク長の計算を間違えて再発注した関係上、下記の計算結果より1mm短くなりましたが気にしない方向でよろしくお願いします。まあ、ちゃんと組めたし、いいんじゃないでしょうか(よくない)。寸法、計算結果とも参考までに。
フロント左側(Non-Gear Side)スポーク長 | |
---|---|
有効リム経(ERD) Internal diameter of the rim(M) |
423mm |
ハブスポーク穴PCD Hub diameter non-gear side(D1) |
58mm |
ロックナット間距離OLD Total length of the hub(K) |
100mm |
ロックナット-フランジ間距離 Gear side(Ka) |
26mm |
リム穴オフセット | 0 |
Rim thickness(F) (リムの厚さ) |
3mm |
ハブスポーク穴経 | 2.5mm |
車輪のスポーク数 Number of spokes in the wheel |
24 |
スポーク交差数 Number of crossings non-gear side |
2 |
スポーク長 | 203mm |
フロント右側(Gear Side)スポーク長 | |
---|---|
有効リム経(ERD) Internal diameter of the rim(M) |
423mm |
ハブスポーク穴PCD Hub diameter gear side(D1) |
45mm |
ロックナット間距離OLD Total length of the hub(K) |
100mm |
ロックナット-フランジ間距離 Gear side(Kb) |
11mm |
リム穴オフセット | 0 |
Rim thickness(F) (リムの厚さ) |
3mm |
ハブスポーク穴経 | 2.5mm |
車輪のスポーク数 Number of spokes in the wheel |
24 |
スポーク交差数 Number of crossings gear side |
2 |
スポーク長 | 208mm |
リア左側(Non-Gear Side)スポーク長 | |
---|---|
有効リム経(ERD) Internal diameter of the rim(M) |
423mm |
ハブスポーク穴PCD Hub diameter non-gear side(D1) |
58mm |
ロックナット間距離OLD Total length of the hub(K) |
135mm |
ロックナット-フランジ間距離 Gear side(Ka) |
31.5mm |
リム穴オフセット | 0 |
Rim thickness(F) (リムの厚さ) |
3mm |
ハブスポーク穴経 | 2.5mm |
車輪のスポーク数 Number of spokes in the wheel |
24 |
スポーク交差数 Number of crossings non-gear side |
2 |
スポーク長 | 205mm |
リア右側(Gear Side)スポーク長 | |
---|---|
有効リム経(ERD) Internal diameter of the rim(M) |
423mm |
ハブスポーク穴PCD Hub diameter gear side(D1) |
49mm |
ロックナット間距離OLD Total length of the hub(K) |
135mm |
ロックナット-フランジ間距離 Gear side(Kb) |
47.5mm |
リム穴オフセット | 0 |
Rim thickness(F) (リムの厚さ) |
3mm |
ハブスポーク穴経 | 2.5mm |
車輪のスポーク数 Number of spokes in the wheel |
24 |
スポーク交差数 Number of crossings gear side |
2 |
スポーク長 | 204mm |
フロントホイールの組み方を図に起こす
サイクルボックス – スポーク長計算にあるように、最初のスポーク3本を組んでしまえば、あとは2交差24Hなら4個飛ばしでいけるんですけど、理屈はわかっても酒が…酒がわからせてくれんのじゃあ…。なので図で起こして泥酔後の自分に託す所存。
①ハブのロゴとバルブ穴の位置を合わせて、まずはスポークの頭が見えるように外→内側へ通して反時計回りに組みます。先に力が掛かるスポークと逆側(オレンジ)から組むのは、そうしないと後でスポークをハブ穴に通せなくなり詰むからです。やってみるとわかる(やった)。
②ホイールをひっくり返して左側も、同じように外→内側へスポークを通して組みます。こっちは時計回り。
③ホイールをひっくり返して右側に。内→外へグレーのスポークを通して反時計回りに組んでいきます。このときオレンジのスポークの下を通しますが、面倒でもオレンジのスポークをいったん外してからグレーのスポークを交差させたほうがいいです。スポークをしならせて下をくぐらせようとするとリムをガリッといくぜ!(いった)
④またホイールをひっくり返して左側に。同じくハブ穴に内→外へグレーのスポークを通して時計回りに組みます。これで終わり。
⑤フロント・逆イタリアン組み完成予想図。バルブ穴のあたりにスポークの交差がきてないなら大丈夫じゃないでしょうか。
リアホイールの組み方を図に起こす
リアもほとんど同じですが図を起こしていきます。酒が回り切る前に…ッ!
①イタリアン組みなのでバルブ穴の左(24番)からスタート。時計回りにスポークを組んでいきます。
③またひっくり返して右側。グレーのスポークを、オレンジのスポークの下を通しつつ反時計回りに組みます。
④ひっくり返して左側。同じくグレーのスポークを時計回りに。ね、簡単でしょう?
⑤リア・イタリアン組み完成予想図。結局はスポークの交差の上下が違うだけなんだなぁ、みつを。と思いつつもシラフじゃないと何度も仮組みをするはめになるのであった(した)。
実際に仮組み
というわけで実際に組みます。図があれば単純作業みたいなもんよガハハ!(2回間違えた)
1)リム穴に番号を書いていき、バルブ穴とハブのロゴの位置を合わせておきます。Novatecのロゴの中央がよくわからなかったので型番の真ん中あたりを中央と定める。リムに番号が振ってあると限界感高いよね。
2)図のオレンジのスポークから。最初の1本を通してしまえば、あとはハブ側は1個飛ばしでスポークを通してしまえばいいので楽ですよね。いや、別に1本ずつやってもいいんですが。
4)ニップルを用意してなかった。ニップルを小袋に入れてオイルをスプレー。これでニップルを締め込むとき神秘のゴリラパワーを目覚めさせなくてもよくなります。
5)余ってるスポークの先にニップルを引っ掛けてリムに通します。これでリムの中に落とさなくなります(落としたけど)。
6)スポークのネジ先にニップルを当ててマイナスドライバーで2回転。
7)オレンジのスポークの下にグレーのスポークをくぐらせる。いっぺんオレンジのスポークをニップルから外してくぐらせたほうが楽でした。
ここからの作業は基本的にニップルを締め込んでいくだけなんですけど、あんまり自信がないので作業内容だけざっくりと。
- 振れ取り台にセットして、マイナスドライバーでニップルを15回転ずつ締め込んでいく
- センターゲージでホイールの中心を出しつつ、大きい横振れを取る
- 縦振れを取る。1mm以内にできれば上等
- 細かい横振れを取る。0.1mm以内を目指そう
- 上記の振れ取りをしながらスポークの張りをスポークテンションメーターで測りつつ、なるべく均等にする
大体こんな感じです。振れ取りが終わったらホイールを床に平置きして、両手でリムのあたりに体重をかけ(ホイールをいじめる)、また横振れが出てないか調べましょう。
9)すべての作業が終わったらニップルのオイルを流すため、パーツクリーナーを吹いていきます。流さなくてもいいような気はするけど念のため。
10)振れ取りで調整しすぎてブラックニップルの塗装が取れかかっており、マジックで修繕する勇気も必要。タッチペンより馴染みがよさげ。
11)で、完成しました。すでに半年ほど使ってますが、まったく問題がないのでブログに書いた次第。よかったよかった。
リアハブから異音
手組みホイールに載せ替えてから1週間、リアハブから1回転ごとにキュッと音が鳴るようになってしまいました。QRスキュワーにオイルを吹いても直らず四苦八苦。
解決!! 自転車 ホイールの異音 車輪の異音 異音の原因と消し方!! | 20年間スポーツバイクメインのサイクルショップ勤めで経験したことの全て
天啓! サンキューインターネット! 原因として、パッキンの音鳴りあたりが状況としては近いのかなと予想。さっそくハブを分解して原因を探ります。
フリー側のサイドキャップが外れました。反対側のサイドキャップも外してフリーごと抜きます。
シャフトに通してあるスペーサーが悪さしてる疑い濃厚。スペーサーを外してシャフトをグリスアップしてから戻します。
念の為サイドキャップのパッキンもねじれを整えてグリスアップ。どっちが効いたのかわからないけど異音は消えました。めでたしめでたし。
感想戦
円高のときに海外通販で買った振れ取り台なんかの道具があったから自分で組んじゃいましたけど、そうじゃないならショップにパーツ指定で組んでもらったほうがいいですよねと強く言いたい。こだわらなければ、ちょっといいお値段の完組で。
あと、グレードの高いハブで組んだほうがいい。そういや回転部品は張り込めというのは自転車のセオリーでしたね。
これにて激安中華ホイールから卒業できました。イーハー! ちなみに今回のパーツ代は2.3万円ぐらいでした。
とても参考になりました。
451のLITEPROカーボンリム545g/pairとZTTOのハブ325 g/pで1㎏少しのホイールを組もうとしています。スポーク長、200ちょいとは思いましたが、精度の自信がない。助かりました。11-28csst、39*53FCW、28C Innovaのタイヤ付け、8㎏狙い。
軽いリム無くなってしまいましたね。探したうちではカーボンで270、アルミだと330が最軽量。700Cより重い。
451はジワジワと肩身が狭くなる感じありますね。700cより重くなるのは本当に納得がいかない気持ち。物理法則の乱れが深刻…!
先生、お世話になります。
スポーク長が183から188となりそうで、見つかりません。アリエクに希望長作成OKの店がいくつかありますけど。HP見ると星スポークさんもやってくれるかも。金澤さんはストレート欠品中。
R390は金澤さんにありますね。60g差に1万円払いカーボンリムにするか悩むところ。
ZTTOのハブも軽いけど、このメーカーは強度をテストしていない?かで50Tが折れたとか記事がある。でも30Tしか使わないため、いける?
ネットで評価記事見つからない。
ハブどこのかは不明ですがUTubeでミニベロ旅行でFHが空転し四国まで行って中断した人がいて、ZTTOやめるのはいいけど、今度はDHSwissくらいしかストレートスポークの24H見つかりません。どうしたもんですかね。
うーん、2セット組んだだけの素人なんであんまわかんないっす。
ハブは一番お金かけていいんじゃないかなーっていうのと、面倒なら補修パーツが手に入りやすいシマノかなーとは思います。
カーボンリムにするならショップに発注するか完組ホイール買っちゃいますね。トルク管理が面倒くさそう。
ありがとうございます。
ホイールはたくさん組んできたのですが、20インチは初めてで、思うようなパーツがほぼないのがわかりましたシマノ32Hならたくさんありますけどね。24Hだとカタログにはあってもお店にはない。ストレートスポークのは完組のをばらすしかありません。シマノハブもしくは台湾、ALEXリム、Jベントスポークが、安パイですよね。
20インチ、特に451はじわじわ厳しくなってるのを実感してます。リムの種類もだいぶ減りましたねぇ。
リムの選択肢としてはALEXRIMS、金澤輪業のやつ、KINLIN、次点でLiteproあたりかなーと思ってました。
ハブは数年後も同じやつが買えるかどうかが大事な気も。前に台湾の無名ハブが壊れて買い直そうとしたら跡形もなかったもんで。
いろいろ思案しましたが、当初の計画の通り、ZTTO R2ハブ(ネットで見るとラチェットが多い時は滑ったけどその後減らして行けている様子)+Liteproの451カーボンで組むことにしました。MTBでアメリカの若い衆がガシガシ使っていますので、200W以上はたぶん出さない20インチだとまあ大丈夫と判断。で、スポーク長。ハブの必要な寸法が提供図面に書いてないので、やり取りしたら、ぼちぼちでてきています。
ストレートスポークなので丸ハブより少し長くなるわけです。
ひまなんでわざわざ邪魔くさいことをしてる!